2006年ドイツワールドカップ
ユーロ大会を散々な結果で終えたスペインはスペインサッカー界の重鎮ルイス・アラゴネスを監督に迎えてドイツ大会に臨みました。予選を順調に勝ち上がってきたこれまでとは一転今回はヨーロッパ予選から大苦戦でした。決して難しくはないと思われるグループでしたがセルビア・モンテネグロに遅れを取りプレーオフへ。スロバキアに大勝してドイツ行きを決めましたが、いつになく得点不足気味で不安を残しての本大会となりました。
キャプテンラウールは未だ本調子ではない上怪我上がりで、司令塔シャビも長期離脱から復帰したばかりである一方、ビジャやセスク、セルヒオ・ラモスなど新しい力がどんどん台頭してきていて最後までスタメンが誰になるか議論を呼びました。最終的にアラゴネス監督は4−4−3や4−3−1−2など急遽これまで採用したことなかった戦術を使うに決め、それによってモリエンテスがメンバーから落選し、両サイドのMFも最低限の人数で多くのセンターMFが選出されました。近年武器にしていたサイド攻撃を捨てて、ボールをキープすることに重点を置いたのです。またペルニア(アルゼンチン)、セナ(ブラジル)と新たな帰化戦士が参戦したのも今回の特徴です。
緒戦の相手はウクライナ。シャフチェンコが本調子ではないとはいえ、スペイン苦手のカウンタータイプのこの相手に負けるのではないかと予想する人もいました。しかし、それまでの戦いぶりが嘘のようにこの日のスペインは爆発しました。スペインは序盤から得意のパスサッカーを披露し、前半13分にはCKからシャビアロンソのヘッドで早くも先制します。さらにその4分後にはビジャのFKが相手DFにあたりゴール。この日のウクライナは暑さにへばってたのか、初のW杯で緊張してるのかまったく怖さを感じません。後半に入っても攻め続けるスペインはトーレスが得たPKをビジャが決めて3点目。さらにその時の退場で意気消沈のウクライナにトーレスがとどめの1点を決めて4−0で大勝です。特に、4点目のプジョールのオーバーラップから生まれた早いダイレクト攻撃は圧巻で、多くのサッカーファンを唸らせたはずです。
続くチュニジア戦も早々に先制されたものの途中出場のラウールが後半71分に根性の同点ゴールを決め、終わってみれば3−1の完勝で早くも決勝トーナメント進出を決めます。予選最後のサウジ戦ではGK含めスタメンを総入れ替えという前代未聞の余裕を見せ、ファンを楽しませてくれました。(結果は1−0)
順調に勝ち進んだスペインのトーナメントの相手はなんといきなりフランスです。若さと勢いのスペイン対ラストジダンパワーと経験のフランスという対決になりました。アラゴネス監督はラウールをスタメンに戻し、中盤はシャビ、セスク、シャビ・アロンソと守備よりパスを重視した布陣で臨みます。前半28分にPKで先制したもののマケレレ、ビエラの名ダブルボランチに良さを消されたスペインはなかなか良い攻撃ができないません。スペインのDFラインもアンリを何度もオフサイドトラップに引っ掛け、お互い膠着状態が続きます。しかし前半終了間際にオフサイドトラップを逆手に取った頭脳プレーでフランス、リベリーに同点を許してしまいます。後半に入ってもスペインはフランスの固くて巧みな守備を崩せず、83分にとうとうセットプレーから隙を突かれて勝ち越されてしまいます。さらに後半ロスタイム、前がかりになって手薄になった所をジダン1人にやられて1−3。スペインはまたしてもベスト4に届かず大会を終了してしまいました。以前のような爆発はなくとも試合巧者なベテラン軍団フランスに若いスペインは経験の差で負けた試合だったと言えるでしょう。。ただ結局決勝でもギリシャが勝つのですが・・・。 結局サエスが信じたラウールが最後まで復調することがなかったのが敗因と言われています。ラウールがあまりにも偉大な存在になりすぎて不調になってもはずせないという難しさが露出した大会となってしまいました。
メンバー
1 カシージャス
2 サルガド
3 ペルニア
4 マルチェナ
5 プジョール
6 アルベルダ
7 ラウール
8 シャビ
9 Fトーレス
10 レジェス
11 ルイス・ガルシア
12 アントニオ・ロペス
13 イニエスタ
14 シャビ・アロンソ
15 セルヒオ・ラモス
16 セナ
17 ホアキン
18 セスク
19 カニサレス
20 ファニート
21 ビジャ
22 パブロ
23 レイナ
監督 アラゴネス
試合結果
予選
スペイン 4−0 ウクライナ
スペイン 3−1 チュニジア
スペイン 1−0 サウジアラビア
トーナメント
スペイン 1−3 フランス