ユーロ2004 ポルトガル
ユーロ2004大会はお隣ポルトガルでの開催ということもあり(珍しく?)スペインからも多くのファンが駆けつけ、そんな準ホームといえる環境で「今度こそ」と国民も期待を寄せた大会でした。この大会から監督に就任したのが1999年のワールドユースで優勝したU−20スペイン代表を率いたイニャキ・サエス監督です。前回大会で長年代表を引っ張ってきたイエロ、ルイス・エンリケ、ナダルといったベテランが代表を引退したこともありサエスは代表メンバーの世代交代を一気に進めました。スペインの若い世代は毎年すばらしい成績を収めており、そんな若者たちをずっと見てきたサエスが作るスペイン代表は地元ポルトガルと並び優勝候補に挙げられます。しかし1つ大きな問題だったのがラウールの不調です。17歳でプロデビューしてから順調にトップレベルの道を歩いてきた彼ですがここへきて初めて調子を落としていました。本人や周りも否定していましたが、明らかにいつものラウールではありませんでした。一方この時絶好調だったのがトップ下のバレロン。ポジション的に共存が難しくサエスがどっちを起用するかが注目されました。
予選グループは運悪く開催国ポルトガルと同居してしまいます。最終戦にポルトガル戦を控えたスペインはそれまでになんとか決勝トーナメント進出を決めたいところでした。しかし、予選リーグで主導権を握ったのはスペインでもポルトガルでもなく伏兵ギリシャです。緒戦こそ途中から出場のバレロンのゴールでロシアを倒すも、第2戦では開幕戦で開催国ポルトガルにまさかの勝利を収めたギリシャに大苦戦。モリエンテスのゴールで先制しますが組織的に固めた守備をこじ開けられず追加点が奪えません。そうこうしているうちにギリシャ得意の(そしてスペインが苦手な)カウンターで1発やられて同点にされてしまいます。結局1−1の引き分けに終わったスペインは2位で最終戦を迎えることとなります。ちなみにこの試合もラウール選抜バレロン途中出場という采配でした。
引き分けで決勝トーナメント進出が決まるとはいえ相手は開催国そして優勝候補のポルトガルです。この試合でもサエスはラウールを先発に起用。さすが隣だけあってスペインサポーターも多く大盛り上がりのスタジアムで試合は開始されました。しかしそれに反して試合は、両者硬くなってるのか優勝候補同士の対決とは思えないなんとなくパッとしない内容です。特に我らがスペインは悲しいくらい攻撃が沈黙。今までどんな試合でも披露してきた華麗なパスワークでさえあまり見られませんでした。今大会1人輝きを見せていたビセンテのドリブルも活かすことができません。後半57分になんとなくヌーノ・ゴメスに先制されるとその後もほとんど良いところなく敗戦、そして敗退。
皮肉にも決勝戦を戦ったのは同じグループのギリシャとポルトガルでした。ポルトガルが初戦でちゃんとギリシャを倒していれば、こんな大変な展開にはならなかったのにと思うと悔やまれます。ただ結局決勝でもギリシャが勝つのですが・・・。 結局サエスが信じたラウールが最後まで復調することがなかったのが敗因と言われています。ラウールがあまりにも偉大な存在になりすぎて不調になってもはずせないという難しさが露出した大会となってしまいました。
メンバー
1 カニサレス
2 カプデビラ
3 マルチェナ
4 アルベルダ
5 プジョール
6 エルゲラ
7 ラウール
8 バラハ
9 Fトーレス
10 モリエンテス
11 ルケ
12 ガブリ
13 アランスビア
14 ビセンテ
15 ラウール・ブラボ
16 シャビ・アロンソ
17 エチェベリア
18 セサール
19 ホアキン
20 シャビ
21 バレロン
22 ファニート
23 カシージャス
監督 イニャキ・サエス
試合結果
予選
スペイン 1−0 ロシア
スペイン 1−1 ギリシャ
スペイン 0−1 ポルトガル